アルミの溶接が難しい4つの理由
溶接加工でよく扱われる材質が以下の3種類です。
・ステンレス(SUS系など)
・鉄(SPCCなど)
・アルミニウム(A5052など)
上記の中で、最も溶接が難しい材質がアルミニウム。
アルミの溶接がステンレスや鉄に比べて難しいのは、アルミの物理的な性質が原因です。
ではアルミのどんな性質が、溶接を難しくしているのでしょうか?
この記事では、アルミニウムの溶接が難しい4つの理由を
その原因となる物理的性質と共にご紹介します。
アルミ溶接の歪みや割れにお困りの方は、ぜひご参考ください!
融点が低いため、熱によって溶けやすい
アルミの溶接が難しい1つ目の理由は、『融点が低いため、熱によって母材が溶け落ちてしまう』です。
アルミの融点は660℃。
精密板金に使われる鋼板の代表格であるSPCCの融点:約1540℃、ステンレスの融点:約1400℃に比べると、アルミは融点の低い金属です。
融点が低いと当然、熱によって溶けやすいため、アルミの溶接では母材がすぐに溶け落ちてしまいます。
したがってアルミの溶接では母材の溶け落ちを防ぐために、母材への入熱管理を徹底しなければなりません。
この融点の低さによる母材の溶け落ちやすい性質が、アルミの溶接を難しくしている1つ目の理由です。
熱伝導率が高いため、熱によって歪みやすい
アルミの溶接が難しい2つ目の理由は、『熱伝導率が高く熱によって歪みやすい』です。
熱伝導率とは熱の伝わりやすさを表す指標で、材質によって値が異なります。
アルミの熱伝導率は熱やステンレスの2倍以上!
熱伝導率の高いアルミは熱が伝わりやすいため、熱を加えた時の歪みが大きくなります。
したがってアルミの溶接では熱による歪みを抑えるために、溶接時間を短縮しなければなりません。
この熱伝導率の高さによる歪みやすい性質が、アルミの溶接を難しくしている2つ目の理由です。
融点が非常に高い酸化被膜が生成される
アルミの溶接が難しい3つ目の理由は、『融点が非常に高い酸化被膜が生成される』です。
酸化被膜とは金属の表面が酸化して作られる酸化物の膜で、例えばアルミの表面に形成される酸化被膜は白色の酸化アルミニウムです。
またアルミは他の金属に比べて酸化しやすく、空気中に放置しておくだけで酸化被膜が出来るのが特徴。
そしてアルミの酸化被膜は融点が2000℃とアルミの融点より1300℃以上高いため、溶接の邪魔になってしまいます。
したがってアルミの溶接では、事前に酸化皮膜を除去するなどの対策をしなければなりません。
この融点が非常に高い酸化皮膜が生成される性質が、アルミの溶接を難しくしている3つ目の理由です。
強度を弱めてしまうブローホールが生じやすい
アルミの溶接が難しい4つ目の理由は、『強度を弱めてしまうブローホールが生じやすい』です。
ブローホールとは、溶接をする際に溶接金属内に現れる小さな空洞です。
この小さな空洞は水素や窒素、一酸化炭素などのガスによって発生。
溶接金属内にブローホールが発生すると、溶接箇所が弱体化、溶接不良の原因になってしまいます。
したがってアルミの溶接では、ブローホールの発生を避けるために溶接に適した環境作りや溶接金属の管理を徹底しなければいけません。
この強度を弱めてしまうブローホールが生じやすい性質が、アルミの溶接を難しくしている4つ目の理由です。
まとめ
まとめるとアルミの溶接が難しい理由は以下の4つです。
・融点が低いため、熱によって溶けやすい
・熱伝導率が高いため、熱によって歪みやすい
・融点が非常に高い酸化皮膜が生成される
・強度を弱めてしまうブローホールが生じやすい
アルミは製品を制作する上で有益な特徴を持った材質であり、多くの製品で利用されています。
しかしアルミニウムは
・熱に弱く歪みやすい
・酸化皮膜が溶接の妨げになる
・溶接割れが起こりやすい
などの特徴から、溶接に高い技術が求められることが知られています。
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